今年の夏の話
身体のなかで一番大事にしている喉だ。
わたしの好きなことは、しゃべることと歌うことなので、毎日が不安だ。
このままこの枯れた声で、一生過ごさなければならないんだろうか。
なんだかんだ、奇病にかかることはあったけど、運よくはやいうちに治ってきた。
扁桃腺の弱さには常々悩んでいたけど、こんなことになるなんて想像していなかった。
これから会う友達は、
あまりしゃべれないわたしでも、仲良くしてくれるだろうか。
しゃべれないと知ったら、がっかりするだろうか。
声を出す以外でできることで、全力で楽しんでもらいたい。
もしわたしが、会った時に友達がしゃべれないということだったら、
そりゃもう全力でしゃべらせずに、しゃべれるときの数倍は楽しくさせたい。
毎日が不安だ。だれも仕切ってくれない。寄り添ってくれない。
ひたすらひとりで、どうするかを選択しなければならなくて。
気を紛らすばかりだ。
小さいころから、この絶望からいつ解放されるんだろうと思っていたけど、
全然だな。
もう何もかもあきらめて、妥協して、結婚してしまおうとか思ったりもする。
ただ苗字を変えるだけの結婚、そんなのだれも許さないだろうな。